ぼくのエジソン(1)
吉岡ペペロ

大会の日はいつもおじさんの自転車のうしろに乗って会場にむかった

ぼくはその日6人に勝って町の将棋大会に優勝した

ひとさら2100円の寿司を高いねとつぶやいて食べた

優勝したんだから文句言わねえで食えよ

おじさんがぼくに右手を粗雑に振って恥ずかしそうな顔をした

帰り道は背中越しにふたりで将棋をした

空や建物や信号機を見つめては指した

木々や車や親子を見つめては指した

いつも不安定な気持ちだった

おじさんの背中でぼくは自由だった

おじさんの背中に顔を近づけてため息を吐いた

やわらかな穴子のげっぷが出てぼくはおじさんに負けてしまった








自由詩 ぼくのエジソン(1) Copyright 吉岡ペペロ 2013-04-14 19:10:59
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