陽 波紋
砂木

木の皮に こもった熱が
少しづつ 雪を溶かし

陽射しが 波紋のように
幹の根元を まるくあゆむ

溶けた雪は水となり 土にしみ込む
しみこめない水は 雪の下をたぱたぱ流れ

水の膜をはり 熱を保ち
雪の下で 土から出られない植物達の
生身を凍りから 焼けないように解き

水と雪の隙間の空気に
小鳥の声が 交じる

木漏れ日に目をこらす
山道は まだ雪深くおおわれているけれど

屋根の上 テレビアンテナの横に立ち
大空を飛んで さえずる者の響きに

越えた冬より 迎え討つ春を思う
熱波紋のあゆみに 立ち尽くしながら



 








自由詩 陽 波紋 Copyright 砂木 2013-04-14 01:02:09
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