陽春の花
灰泥軽茶

木漏れ日が気持ち良い

緑が光りを浴びて生き生きしている

鳥の声も嬉しそうだ

人の声がする

嬉しそうな声だ

ちらりほらり木々の間から

鮮やかな着物を着た女性たちがこちらを伺っている

ゆっくりそうっと近づいていけば

なんとも美しい紫色をしたつつじの花が

瞼をあけて睫毛が揺れ瞳をそっとこちらに向けるように

あちらこちらにたくさん咲いていたので

わたしははにかみながら

陽春の暖かい光りの輪がいくつも共鳴し

蜃気楼のように波打ち匂いで薫る

つつじの花の中を歩いていった



自由詩 陽春の花 Copyright 灰泥軽茶 2013-04-13 22:36:14
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