防波堤
はるな


春の日
下り坂で
防波堤を拾った

アメリカと
日本の反対側に
それを置いておいたら
それだけで戦争になってしまった

悔やんだぼくは
左手首に▼の
入れ墨をいれたかったが断られた

線路が通り過ぎていて
とてもじゃないけどできないと

春の日
歩いていると
十年前の涙をひろった
いかにも
赤くしめっていて
しかもくさかったから
十五歳くらいの
通りがかりの女の子に
あげてしまった

十七歩くらい歩いたところで
女の子爆発

テレビのなかに
はいることができる友人は
ゆきかう百万の愛と憎悪を
自分のものだとおもいこんで
テレビのまえで
延々と
延々と
笑っている

春の日
光は
さえぎられ
さえぎるもののかたちを
影にしている
さえぎるものたちよ
影になりたかったか
ぼくがそう聞くと
「わからない」
光たち
影をつくりたかったか
ぼくがそう聞くと
光はこたえない

光は
いつも声をもたない
光はかなしく
いると
いないのあいまにたたずんでいる



自由詩 防波堤 Copyright はるな 2013-04-11 12:45:22
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