春の午後
佐東


薔薇の蕾をなぞる指先で
あなたは
わたしの静脈の中の
青い花びらを
一枚一枚
ていねいに燃やす


薄く伸ばされた
午後のページをめくる
白い重なりは
丸みを帯びた雨の切っ先を
青い温度に変えて
骨ばった頬の上を
滑るようにして
午後の文字列を滲ませてゆく


薄手のカーテンに遮断される
よたよたとした
春の粒子たちは
午後二時を告げる
短針の脊髄を
抜き取ってしまうから
春の雨に
切り取られた部屋の隅で
三角錐のわたしは
溶け始めてる文字列を
読み取ろうと
してるのだけれど



自由詩 春の午後 Copyright 佐東 2013-04-11 10:43:25
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