ひとりぼっちのふたりごっこ
中村 くらげ

ひとりになった四角い部屋で
ぽとりと零す細い声

捲り捲れてゆっくりと
唇から剥がれ落ちた

ワンルームの床の上には
足の踏み場もないほどに
彼女の名前が散らかっている


ひとりになった四角い部屋で
返事をしない高い声

知らず知らずにこっそりと
戻ってきた手紙のよう

今日の笑えた出来事を
話したくて呼びかけるけど
ひとりごとになり積み重なった


いくら散らかろうと
いくら積み重なろうと
ふたりになれないひとりがいる


明日になれば四角い部屋を
飛び跳ね回る笑い声

ひとつ残らずさっぱりと
聳える山を吹き飛ばせ

彼女がドアを開けるまで
寂しい夜を乗り越える
ひとりぼっちのふたりごっこ


自由詩 ひとりぼっちのふたりごっこ Copyright 中村 くらげ 2013-04-08 18:33:53
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