オレンジバスタオル
三田九郎

気づくとオレンジだった
前に買ったタオルも
その前
の前もオレンジ

幼い頃
オレンジジュースが飲めなかった
みかんはたくさん食べたのに
飲もうとすると必ず吐いた
不可解な体質が産んだ
特別な感情

飲めるようになっても
存在感は過重で
挑む心地で つい
買ってしまう

飲み込めてしまえる
それは
重大事であり続けている
オレンジジュースが飲める
飲めるのだ
ぼくは

そういえばオレンジだ いつも
いつだってオレンジだった
意図しない選択の連続に
誰かを感じる

飲めなかった僕
いま、身体をぬぐう僕
飲み込めてしまえる
その身体をなぞるとき
ついその色に決めてしまう
僕は僕だ


自由詩 オレンジバスタオル Copyright 三田九郎 2013-04-07 19:59:54
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