春のススキ
Lucy

雪が僅かに消え残った海岸に
揺れているのは去年のススキだ
長く厳しい冬の間
雪に埋もれて立ち続けていた
ススキはいつ倒れるのだろう
既に枯れているのに
命の抜けた穂を振って
いつまで風に応えるのだろう


サーモンピンクに霞みはじめる
夕暮れに包まれ
懐かしさで胸をいっぱいにして
誰を手招きし続ける


足元に守り
暖めてきた夢が
やがて緑に芽吹くというのに


まだ私を終わらせたくないと
もう一度こうして立ち会えた
春の1日を
惜しむように






自由詩 春のススキ Copyright Lucy 2013-04-06 14:42:18
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