妖怪社員たちの朝(花粉編)
ぎへいじ
鼻からティッシュが離せなくなってしまったのか
哀れだな
もの かなしい
まるで親にはぐれた子像の泣き声
パオー パオー
これと言った朝の挨拶もなく適当に休憩室の椅子に座る面々
そう 目を擦っているのは
指先で玉の一点をしつこくかきむしり
自分の目玉を指でくり抜こうとしている
妖怪 目玉洗い
家から持って来た水筒のお茶で目玉をチャポ チャポして洗うつもりなんだろう
そこの頭のかゆいのは誰だ
何だ この白い物は
お前は“フケ出るゲ ”
こっちを向いてポリポリかくな
花粉症で足の指まで痒い
それは違うだろうに
ムズ
この感覚 まさか
鼻水が 鼻水が水っぽい
事務の女の子も怖がる
俺は 妖怪“鼻水鬼”
笑われていたのか
気がつかなかった
始業のチャイム
さあ ティッシュを持って
目玉を戻して
ねっちょり鼻水の指と指
手と手を合わせて みんなで タッチアンド コールをしよう
今日も安全第一 ヨシ!
仕事だ