ドメガザウルス
左屋百色

小さな砂漠で少女Bはドメガザウルスに噛
まれ目の前が灰になりました。痛みより暗
くなるのがこわかった。近くの川で魚たち
は少女Bの心をチラチラ見ている。今日は
どこへも帰らない。背骨よりまっすぐな道
だけを歩きアバラ骨より曲がった道はもう
二度と歩かない。

大きな森でドメガザウルスは牙も角もいら
ないと心底おもった。友達がほしい。枝の
先端で鳥はドキドキしている。葉を集めて
きれいに並べ新しい遊びを考える。いつか
友達とする遊び。

夕暮れはなく夜がきた。少女Bは流れる血
に名前をつけた。自分と同じ名前。そして
傷口に口笛吹いた。その時に小さな砂漠に
いた少女Aは自分の出番がもうないことを
悟った。


自由詩 ドメガザウルス Copyright 左屋百色 2013-04-04 18:12:39
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