海の四月
佐東





春のみちしるべが
ぼんやりと
さくらいろにほどけて
くるり

かすかに温む指さきを
ひきしおの隙間に
おきわすれ
どこへゆくのか
しおさい

水平線の午睡
波の咲くおとを
ささやかにたぐりよせ
花のなまえを
思い出そうとしている


   なんどでも、
   うまれかわろうと、
   おもっているの、


あいまいな傷みを
ともなったこきゅうで
やわらかくなった
冬のざんぞうは
水分をふくんだ風に
ながされて
やがて
つまさきから
入水する


    そろそろ、
    せおよぎを、
    おぼえたいの、


屈める背に
春はゆっくりと
傾斜してゆく







自由詩 海の四月 Copyright 佐東 2013-04-04 16:15:34
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