わななく魚

欲すれど求めず、
日々そこに泳ぐだけでも、
くねりぐにゃりぬめり
何かが水に反射して歪められていく

「愛している」
純粋な言葉のつもりが、
ぐにゃりと腰を曲げ、
臀部から足にかけて水面に揺らぎ、
アワヨクバ
飛び出さんとしているのは、
全然、最初とは違う、
湧き出てくるウロコの幼獣

求めてはいない、
撫でて欲しいと願うだけ
人差し指でこの胸を
撫ででくれないか、そして
滴り落ちる貴方というものに、
覆われたい
同一になりたい

いや違う、
やはり歪められていく

くねりぐにゃりぬめり


「愛している」
私は貴方を愛している
求めてはいないのだ。
ただ身にまとう水滴のひとつが
貴方の滴であれ、と願うだけ
アワヨクバ、
そう思う自分を抑えて、
この躯はわなないている


自由詩 わななく魚 Copyright  2013-04-04 11:34:30
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