見えない心臓
塔野夏子

見えない心臓が一つある
僕らのあいだのどこかにある

見えない心臓は
僕らに見えない血管をめぐらせている
僕らは同じ血の流れをわかちあう
僕らは同じ脈搏をわかちあう

そして見えない心臓が
春をうたいはじめたので

僕らは一緒に歩いてゆく
陽のあたるあかるい道を
道の両側にはずっと
とりどりのチューリップが咲き並んでいる




自由詩 見えない心臓 Copyright 塔野夏子 2013-04-03 20:28:45
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春のオブジェ