シスター
茜井ことは


誰のためにと嘘をついても
組まれた手は、いつも左胸に
腐食した鎖を外してくれた人が
今度は強い首輪になってくれると
信じている

流れる雲は千切れるばかりで
どこを見据えれば
あなたは浮かぶ?
どんな人の微笑みも
あなたはこっそり捨てていくだけ

絶望と期待は
哀しいくらい同じ時間で
降り積もって、薄めあっている
その指の隙間の涙さえ
誰かに祈らせることを
ゆるしてくれないのなら




自由詩 シスター Copyright 茜井ことは 2013-04-01 22:58:55
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