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はるな


縦や斜めや裏返しにわたしの体がぎっこんばったんやられているあのときに決意しました。わたしはたぶんわたしではなかったです。黄色いのや赤いのは好いです、青いのも緑のも好いです、白と黒も好いです。ただし灰色は駄目です。裏打ちは必要なのです、影の伸び方の規則を見つけるのです。少女の目からただただ盗まれてゆくものたちへ名前をつけて、それがどんなに彼女たちを傷つけてきたかわからないでしょう?彼女たちは戦士だった、ぼろぼろの尾ひれを動かすたびに痛いのを疑問にも思わなかった。それで死ぬときにはっと気づくのです、ああ、これはたぶんわたしではなかった。わたしではなくて、「わたしたち」の痛みだったのだ。

さて、少年たちは後ろ手に指を鳴らすので、いったい誰が犯人なのかはわかりません。彼らはいつも、全員で犯人でした。少年たちは少女たちよりももっと何も知らない。そして、少年たちはたいていの場合、少女たちよりももっと幸福でした。物事の中庸はつねに彼らの経つ場所にある。高く飛びたがる鶏はその視点から見れば不幸です。一定の割合で発現する、「高く飛びたがる鶏」は、もっと長く飛んでいたかった。彼らの鶏冠は、高く飛びたがらない鶏と比べるといつでも鮮やかに赤かったです。
ただただ、わけもなく、それはいつも鮮やかに赤かったです。

わたしのここはこんなに赤くなってしまったんですけど、あなたの情熱と何か関係がありますか。わたしのここはこんなにななめに傾いてしまって、ゆっくり歩くことができません。走るとからだは、だんだんとほどけていきます。痛いのはほんのはじめのうちだけでした。もっと走らせてください。どんどんほどけていきます。もっと傾けてください。ほどけていったものたちが、わたしだったものたちが、後方で彼女たちだったものと絡みあいます。それが始まりです。予期していました。もっと赤くしてください。鶏はいつまでたっても飛べないのですから。


自由詩 ---- Copyright はるな 2013-04-01 19:23:58
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