三宝柑と唐辛子
灰泥軽茶

街道を歩いていると
簡素な無人野菜販売所が
所々にある
鮮やかで不格好な食物たち
私は頭がひょこっとでた三宝柑と
真っ赤な唐辛子を買う

路地を曲がるとワゴンから小さな女の子が
飛び出してきて
私の近くにいるお姉さんに向かって
親族だろうか

こんにちわ〜○○ちゃん〜○○ちゃんいると呼びかけ

とても嬉しそうに駆け寄って通り過ぎていく
あいさつはとても気持ちの良い響きで
私は歩きながら三宝柑を剥きながら口に含み
えらく皮が厚く種ばかりの房から汁を吸いこみ
偶然の出会いに笑みを浮かべながら
街道を歩いていく




自由詩 三宝柑と唐辛子 Copyright 灰泥軽茶 2013-04-01 16:28:34
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