ほら、あのトカゲ起きてきちゃったじゃない
カマキリ



 室外機のそばの窓に 白い紙から切り取った星を貼って
 自分が手を伸ばせる範囲を決めている
ホームから離れた電車はたぶん季節を引き裂いて走って
夜という夜を願い事だらけにしながら傾いた

 生クリームの上をつるつると 覚えのない涙がはじかれるもんだから
 置き傘たちは忘れちゃえよと口をそろえるのだけれど
 桃色を、派手に散らかした石畳の数をわたしはいつまでも忘れてやらない

たぶんドラゴンだったんじゃないかな、そうだったらいいよな
草陰の化け物はひさしぶりに息をすることにした




自由詩 ほら、あのトカゲ起きてきちゃったじゃない Copyright カマキリ 2013-03-31 22:32:40
notebook Home 戻る