風見鶏
nonya
風を眺め
風と語り
風を伝える
もうすぐ名前がなくなる村の
公民館の屋根のてっぺんで
風を聴き
風と歌い
風を奏でる
僕は少し錆びついた時間を
飽きもせずについばんでいる
風を嫌い
風と別れ
風を忘れる
名札だらけの街に恋焦がれた
子供達は元気でやっているのか
風を欺き
風と争い
風を抑える
ヒトとモノの濁流に飲まれて
風も読めない大人になってはいないか
風を感じ
風と歩き
風を見守る
もし何かを見失ってしまったら
僕を想い出してくれてもいいよ
風を嗅ぎ
風と笑い
風を手招く
さざめく緑の稲田とフェーンの風
盛り上がる用水路と焼けた素肌
風を着て
風と走り
風を頬張る
僕は風を選べないけれど
君は風を選べるはずだから
風を掴み
風と競い
風を目指す
たまには羽ばたこうとしてみようよ
たとえ翼を持っていなくても