結ぼれる雲路
茜井ことは


洗濯機に寄りかかり
点在する晴れ間を
信じるか否か決めかねて
ぼんやり空をながめている
憂うつなのかもはっきりしないの
寒さに体を枯らす朝

眠気を知らない弾んだ声で
ラジオがさっき教えてくれた
ここに垂れこめるぶ厚い雲は
陽ざしをすっかり遮って
朽ち葉もその身を硬くするのに
くもりとするには足らないそうだ

ばかばかしいや
頑固な定義に従えなくて
宙ぶらりんだね
天気もわたしも

立ち昇る吐息は雲にもなれず
この停滞を崩せもしない
降ることも照ることもゆるされないまま
結ぼれる雲行きに呑まれていると
重苦しさがのどを撫でつけ
欲望すらも姿を消すから
わたしは時間を
惰弱に殺してしまうのか




自由詩 結ぼれる雲路 Copyright 茜井ことは 2013-03-26 12:22:37
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