結ぼれる雲路
茜井ことは
洗濯機に寄りかかり
点在する晴れ間を
信じるか否か決めかねて
ぼんやり空をながめている
憂うつなのかもはっきりしないの
寒さに体を枯らす朝
眠気を知らない弾んだ声で
ラジオがさっき教えてくれた
ここに垂れこめるぶ厚い雲は
陽ざしをすっかり遮って
朽ち葉もその身を硬くするのに
くもりとするには足らないそうだ
ばかばかしいや
頑固な定義に従えなくて
宙ぶらりんだね
天気もわたしも
立ち昇る吐息は雲にもなれず
この停滞を崩せもしない
降ることも照ることもゆるされないまま
結ぼれる雲行きに呑まれていると
重苦しさがのどを撫でつけ
欲望すらも姿を消すから
わたしは時間を
惰弱に殺してしまうのか