親愛なる童話
砂木

書籍小包が届いた 見慣れた宛名の筆跡に
若い頃作っていた詩集の メンバーからだとわかる
が 差出人を見て ドッキリ
初めて見る筆跡と 女の子の名前
娘さんから 私への贈り物であった

童話を書き 本を作ったからと頂いたのは
実は 二冊めになるのだけれど 一冊めは
御父上である詩人さんから 私へであった

娘さんの事を思っていろんな知人に紹介し
一生懸命応援されているのであろうと
若い頃 詩の活動をしていた時には
想像もしなかった 次世代の方の作品を頂き
細々と地味にやっていただけの詩人生に
パッと 花が咲いたような気がした

根無し草 淘汰されるだけの創作活動でも
必要とされる時もあるのだ
好きでやっていた詩集作りも 無駄な趣味と
どこかで思っていたが そうでもなかった気になる

娘さんから直筆のメッセージも添えられていた
御父上に自分で書きなさいとでも言われたのか
二人で郵送準備をする姿を思い浮かべてみたが
メッセージの筆跡と 差出人の筆跡も違う

ああ 御母上も と私は納得
あくまでも私の妄想だけれど 三名の手作業で
郵便物となって 私まで届いたのだ
やるなあ さすが御父上 娘と奥様を従えて
いや 従わされているのか やるもんだなあ

すっかり楽しくなって 御父上が奥様あてに書いた詩とか
昔の詩集にありますよなどと へらへら教えたくなったが
もうとっくの昔に読まれているかもしれないし
十代の女の子に 余計な事を書くのもためらわれるので

本を贈ってくださってありがとう
あなたの御父上の詩を初めて拝読したのは
農業新聞ででした ひらがなの生活詩
非常に目立ってました
詩誌で偶然ご一緒した時 当時作っていた詩集に誘い
何度かご参加して頂きましたが 年月を経て
娘さんや 息子さんの作品を拝読させて頂くという
時を越え 世代を越えた栄誉があるとは
まったく 思った事がありませんでした
最高の光栄をありがとうございます
本当に小さな詩と小さな詩集を作っていたのに
覚えていてくださり 手を添えてくださり
童話は ゆっくり拝読させていただきます
読んだら 感想を書いて御返事をだしますね
今は この現実の童話を読むだけで 胸が一杯
御父上と 御母上に よろしくお伝え下さい
絵の達者な弟君にも お体に気をつけて











自由詩 親愛なる童話 Copyright 砂木 2013-03-23 11:07:38
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