メリーゴーランド
たもつ

 
 
今年も年に一回の 
メリーゴーランドが
広場にやってくる 
君は朝から鏡の前で
お洒落に余念がない 
 
僕は教わったイチゴ水の
作り方を思い出しながら 
除草剤を作った
洗面所は詰まったまま
水に溶けない名前を
流してしまったから 
 
地面に埋められたプールの上を 
飛行船が飛んでいく
僕は昔、
あの窓を拭くことが仕事だった 
何時の夢だったか 
忘れてしまったけれど

広場へと向かう人々の
楽しげな呼吸が聞こえる
幸せ、それが僕らの選んだ
ただ一つの言い訳だった
排水溝の名前を取り除く
吸い込まれていく僕の身体と
悲しそうに
それでも笑いながら見送ってくれる
君の顔が見える
 
 


自由詩 メリーゴーランド Copyright たもつ 2013-03-21 20:06:32
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