グッドモーニングと言えるだろうか
茜井ことは
薫風に
似つかわしい歌を思いつけなくて
だんまりのまま歩いている
視界が明るくなっていくのに
人影は色濃さを増す早朝を
のどかな光景が
電車の窓を塗りつぶす
その平穏な生活は
変わることなく営まれるのだ
誰がこの地を二度と踏まなくなろうとも
あの日、笑顔で
手を振っていた少女の肺が
本当は涙で濡れていたことに
どうして気づいてあげられただろう
明澄さが
おおい隠すいくつもの
報われなかったまなざしに
グッドモーニング
あなたの声で色づけされずに
言葉だけが宙に浮く