グレースケール
ドクダミ五十号

一部分を見る時

0あるいは1

○または✕

白そして黒

拡張すれば

悪と善

生と死

是と否

対で意味を成す

無とは違う

空でも無い


さあその対極を

連ねるのだ


一部分のヌルとアインスは

何も産まないかもしれない

羅列によって浮かび上がる

その時にヌルはアインスは

複雑な無肯定と無否定かも


一組を注視するのは悦楽だ

羅列を追うのは苦痛に近い

恐れを抱いて離れる背後に

実は生み出された形容なる

どうにも表現を超えた形状

タペストリーが見えるのだ



それでも所詮は

是と否に尽きる と

貴方はどちらか に

世界のあらゆる を



焦点を合わさずに

一輪の花を眺めて

是も否も共に捨て

穏やかな喜びと

穏やかな甘みと

鮮烈な悲しみと

鮮烈な苦み

それが無限の遠方に

緩やかに溶けて混ざるを

幼児の様に楽しむのだ




痴呆とはそういった者で

愛すべきなのだろう

何故かならば

自分に良く似ているから


自由詩 グレースケール Copyright ドクダミ五十号 2013-03-20 00:08:28
notebook Home