生き延びた花束
よしたか




真っ赤な闇に2分間切り裂く風が吹けば
愛しさは多重構造の鬱屈を砕き
白銀の刃よろしくブリリアントな願望で穿っていく
苦しみを包んで生き延びた花束があった

小さな街の小さな出来事から大きな気持ちを生む
烏龍茶の快楽みたいにさっぱりと笑おう
電動式ノコギリの思考が自然な木々を倒していく
最悪の向こうにいる最愛への一直線を
気怠い五線譜からはみ出すほどに
緑の熱源へ羽ばたかせよう

初めての者だけが知ってる世界
それと何度も体験した者だけが見える風景
それを始める気持ちでかき混ぜれば
人は年老いた赤ちゃんになるってさ

吹き出す夜の水と三回垂直落下する渡り鳥の楽団
欠けたチョコレートの愛と群生するマッシュルームの怪しい密室
ABCDEFGとあいうえおの木琴協奏曲
知人に宿った忍耐の怒りと僕の詩にひしめく境界線のない人間洪水

どこかに恐ろしいほど深い穴があいていた
それを埋めるほどの花々がどこかに咲き乱れていた
確かに言えることは僕の体は今熱く
勇敢のバンビと臆病のソネットに舞いあげられた

タイトロープにぶらさがって
時限爆弾を抱えた三文ピエロのサンキューをばらまいて
無意識の無声映画にラブリーな声をさしこむようなノックを絶対安静の無垢に届けよう

(街は図太い炎!)

真っ赤な闇に2分間切り裂く風が吹けば
愛しさは多重構造の鬱屈を砕き
白銀の刃よろしくブリリアントな願望で穿っていく
苦しみを包んで生き延びた花束があった




自由詩 生き延びた花束 Copyright よしたか 2013-03-19 02:56:55
notebook Home 戻る