駅のホームと立ち食いそば屋
灰泥軽茶
駅のホーム
立ち食いそば屋で
かき揚げそばをすすりながら
おにぎりをほおばる
小学生の高学年
夏休みなどに入ると
私はひとりで新幹線に四時間ほど乗り
田舎に帰省していた
とても酔う体質でさらに緊張もしていたので
道中何も食べずに我慢して
歯を食いしばるような
長い新幹線の時間を終え
さらに鈍行列車に乗り換える間に
いつもかき揚げそばを食べていた
胸いっぱいに吸い込む新鮮な空気に
そよそよ運ばれてくる美味しそうな匂い
それは何よりものご馳走で
今でもつゆの匂いとホームの匂いを嗅ぐと
ぐうっとお腹が減ってしまい
ふらりと暖簾をくぐり入ってしまう
だから私は静かで風情のある蕎麦屋で
香りと弾力のある蕎麦をすするのも好きだが
あと五分を気にしながら
勢いよくすするやわやわそばも大好きである