あっちむいてドングリ
よしたか



ドングリをひとつ見つけて
友達のポケットにいれた
そいつがあるとき
ポケットからドングリを見つけて
不思議がるだろうから

人のいない午後の住宅街って
人それぞれって微笑んでおいて
あまり人を認めない雰囲気みたいだ
だけど悲しみに沈むことはない
楽しいことはあるからね

前歯を兎みたいに出した大人の
心ここにあらずの顔とかさ

ミスタードーナツが新しい輪を焼いている
そいつを頬張って君はやたらと
ツイッターで悟ったことを言いたがる
遠くの薔薇より近くの毒キノコだなって呟いた
ギャップありすぎじゃないっすか!って言ったバイトの後輩

高層マンションからピアノが落下して粉々になるのを見たことがある?
あれは一生忘れられない出来事さ
セブンスターから星が逃げ出すほどに

もちのポンデリング
その逃げた星があのドングリ
君はある時ポケットから見つけて不思議がる
好きな方向で好きな女を見るように




自由詩 あっちむいてドングリ Copyright よしたか 2013-03-18 01:58:52
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