パラグライダーにうってつけの日
よしたか



あなたも知らないあなたの裸婦像を彼はもっている
絶景を失った目眩の砂漠みたいな階段でここにきた
あなたも知らないあなたのハロウィンを彼女はもっている
朝露を手にいれた鬱蒼とした森みたいな窓からここへきた
たくましい生け贄と狙撃兵のスコープで出会った
かよわきハンターと羊たちの眼差しで出会った
素晴らしくも間違っていない愚か者たち
あなたも知らないあなたの受胎に奇声をあげるロマンなんだ

一銭の金もない大金持ちよ

新しい星や花が人知れず輝いたり咲いたら

狂喜するのは多淫の教会の子どもたち

(俺は涙がとまらないからよかった!)

耐えながら踊り続けよう
音色は真逆のパレットで侘びしい責め苦を慈悲に還元する
おきろ、
ねむれ、
ちゃんと永遠の髪に巻かれて恐怖する

あなたも知ってる慈愛と虚無の乱闘の美学
偽善におさまらない懸命も
術と実益がテーマになる不惑の裂け目も
あなたも知ってる雑感とした監視カメラより
身投げした万感のマグネット !
夏草をひた走った愛憎も
地上30メートルの青嵐の歓喜も
あなたも知ってる見知らぬ栄光の傷を再び開く逆光線のマリア !

新しい星や花が輝いたり咲いたら
天真爛漫に額縁から燃える虹をはぎとって
唇はキスのし過ぎで、
もうのっぺらになってしまったよ

水の蕾が差し出した迷路の滴を舐めとり
霊魂の喜びだけになった坂から転がり落ちよう
ねむれ、
おきろ、
ちゃんと永遠の髪に巻かれて恐怖する



自由詩 パラグライダーにうってつけの日 Copyright よしたか 2013-03-17 16:23:27
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