ソフィア市の輪郭
ブルース瀬戸内

ソフィア市の輪郭を宇宙に見立て
誰かを愛することで華やいだ心と
誰かに愛されることで弾む身体を
楕円の惑星にみたいに包んでみて
それをソフィア市と呼んでみると
ソフィア市は不条理さには沈黙し
総面積は増えたのか気にしている。

そんなことより大事なことを言う。
なにゆえ花粉はかように舞うのか。
この際なので申し上げておきたい。
僕は1ミリもめしべなどではない。
なにを服に付きまくっているのか。
僕は1ナノもめしべなどではない。
僕にヨーグルトを食べさせたいか。
花粉予防として食べさせたいのか。
はたまたヨーグルト業界の陰謀か。
ブルガリアの賢き国家戦略なのか。
クール・ブルガリアの一環なのか。

ソフィア市の輪郭で宇宙をなぞり
誰かを愛していたことを忘れても
誰かに愛されたことを思い出して
自分は確かに存在しているのだと
求められていたのだと自覚できる。
そうでしか自覚ができないほどに
心身が弱っていることだってある。

ソフィア市のくっきりした輪郭に
人生やら世界やら何もかも委ねて
酔っても許される輪郭酔いの日が
長い人生に1日くらいあっていい。
輪郭しか視界に入ってこないほど
打ちひしがれる日だってあるのだ。

そんなことより大事なことを言う。
ヨーグルトを最近美味しく感じる。
花粉予防として食べ始めてからだ。
それが原因なのか分からないけど
近頃発想がやけにブルガリアンだ。
こうしている今もブルガリたいし
ブルガっている自分を想像すると
興奮してブルガリキナーゼが出て
分かりやすく言うならもう大変だ。

君と次に会う約束をしたいために
僕はなぜかソフィア市を持ち出し
一切本題に入ってはいないけども
それはつまりヨーグルトのせいだ。
君の輪郭だけに酔ってしまうには
まだまだ早いというかしたくない。
それがブルガリアンの誠意であり
そんなことより花粉よ収まり給え。


自由詩 ソフィア市の輪郭 Copyright ブルース瀬戸内 2013-03-17 15:42:03
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