『飛ぶわけない』
未満ちゃん
ツタヤにただついていくだけなのがとにかくめんどーだった、ってあとから思ったから
いやがらせ、あなたがえらそーに選んだDVDの、隙間という隙間に
わたしのてきとーに選んだ『皇帝ペンギン』を挟んでおいた、合計3本。
わたし見ないけど。そんないかにもな回転をするあなたの地球の均衡が、
ちょっとは傾いたんじゃない多分? って笑う、レジで。
あ、返すなよ、わたし見ないけど。
は? こんなことでけんかなんかしませんよだれひとりしにませんよ。
わたしブロンドじゃないし。むちゃな運転したらぜったい酔うし。
空だって、結局飛ぶわけない
かえりみち、すでに家のドアを破壊しそうなあなたの輝く横顔が、
なんだかとてもうるさくて、わたし突然に黙ってやった
多分、これも地球の均衡にかかわるもんだいでしょ
いや、でもなんかさらに必死になりはじめたからもういいや、
たったの15分で笑ってあげた。
なにこの名女優。NG3回までしか出さなそう
てかさ、このまま加速して、
へんな場面で死んじゃわないと釣り合わなくなったりしたらやだよね
でも、こんな選択をしちゃったら、あとはもう駄作だよね
エンドロールみたいに長々とわたしに語りまくって「サイシューテキに、」
って運んだあなたのことばが、最終的に映画みたいだったから
わたしは「ハリウッド俳優みたいな顔になってから言えよ」って唯一の台詞をつぶやいて
そのままクッションに座礁、沈没していった
ちょっと古いよねって思いながら、脈絡なく「ちょっと古いよね」って、ぶくぶく。。