転がる花
よしたか


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孤独、生の騒ぎと死の無言に君は何を聞きだした?

孤独、握り拳の財宝と結んだ小指の煌めきに、君は何を見た?

孤独、小さな硝子に傾げたポトスと黄ばんだ森の癇癪の中で君は何を水と言った?

君と君の間を埋めたのは
埋め合わせの借り物じゃないかい?
いいえ
間に合わせの自作自演?
いいえ
背中合わせの腫れ物?
いいえ
幸せの天上に頬杖?

話らうようで
何か気を保つまじないをぶつぶつ呟くように
世の中の大通りを歩いていく君

−孤独君、孤独ではないさ
−孤独ちゃん、孤独なままでもある
−孤独さん、孤独様ではないような孤独殿

(孤独模様)

その輪郭を3月の指先でなぞろう

死者を弔うように震える花を振りまこう

淵と淵から鳴った川のセセラギに振り返った


君が歩き出す先には
似た景色と
似てるようで違う景色
違うようで同じ景色
同じなのに輝く景色
また、全く新しく映るようで
繰り返されていた景色もあるだろう
それから集積されて
気づけば立っている
ひょんな地点から見えて
見えない景色もあるぞ
それは誰かさんもなんだぞ

理屈も屁理屈も袖にしてしまう
降り積もる感情体験の雪からこしらえたカマクラに
君だけに特別な
なんてことはない一個があるだろう

僕僕僕
私私私
俺俺俺
誰誰誰

覚えている花の名も

忘れてしまった花の名も

覚えられない花の名も

思い出せない花の名も

これからの開花に震えて

みんなその一個に見事に染みている

それは誰かさんもなんだぞ

君 君 君
お前お前お前
貴方貴方貴方
誰 誰 誰


人 人 人


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自由詩 転がる花 Copyright よしたか 2013-03-13 16:54:10
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