単純な好意の顔
よしたか



この単純な好意が
長く伸びること
勢いよく飛び出し
曲がり角にくいこみ
歩道橋を渡り
螺旋階段をまわり
川で苔むして
切り立った山を抜け
どこまでも
めいっぱい伸びる

単純な好意は
変な顔になってる
吹き出してみる
もとの顔がわからない
傷ついてみる
離してみても
もとの顔ではないだろう
先へいこうと黙ってみる

千切れたとしても
もってる単純な好意の切れ端と
ちぎれてる単純な好意の伸びたもの
どうにかしたいなら
どちらを見ても
どちらも見てることになり
そうして長く伸びた
単純な好意の顔の結び目は増えていく

もとの顔に似た顔を
長く伸びた顔の皺に見つけて
僕だって単純な好意の顔になれてるかもしれない



自由詩 単純な好意の顔 Copyright よしたか 2013-03-13 16:05:01
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