踏切にて
灰泥軽茶

遮断機が降りてじっと待つ

ここの踏切は駅の近くだから

電車はゆっくり通り過ぎるので

だいぶん待たされる

踏切の向こうにいる人もじっと待つ

がたんごとん

のろりそろりと電車はやってきて

通過していく

電車の中の人々もじっと待つ

ゆっくりと走る電車の窓際に立ち

どこかを眺めているのか

瞳の奥には何も映らない

柔らかいマシュマロのような

孤独な人とひととき目が合い

感情が溢れ

優しさと哀しさが混じり

じっとこらえ

遮断機があがるのを待ち

踏切を渡って去っていく







自由詩 踏切にて Copyright 灰泥軽茶 2013-03-12 14:00:42
notebook Home