独善
村正

悲しむことはなく

笑えない理由もない

日常は途切れない

そしてだれかが途絶える



憎むべき人はなく

笑えない理由もない

日常は途切れない

もしもだれかが途絶えても



今あるものだけを愛せるほど

器用になれる理由もない

記憶は途切れない

いつか俺が途絶えるまで



見知った墓の量と

途絶える恐怖の大きさが

反比例していくから

憂うことはない



なにもいらない

だれかいてくれ



無常を想っても

日常は途切れない

引きずり出された

灰色になっていく



俺たちの道のりは寄り添うだけだった

右隣の呼吸を思い出しては

やかましい夜を

どうやって越えようか


自由詩 独善 Copyright 村正 2013-03-11 03:36:47
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