桜前線
たもつ

 
 
道路の真ん中に
枕が落ちていた
枕が変わると眠れない、
という性質でもないので
すっかり寝てしまった

車に轢かれる夢を見て
目が覚めると
胸の上あたりに
ミニカーが置いてあった

ミニカーを触るなんて
十数年ぶりだった
久しく触っていないものが
他にもたくさんあるはずなのに
手の大きさや形は
ずっと同じ気がする

車にクラクションを鳴らされる
知り合いだったので
しばらく他愛もない話をした
この辺りもさっきまで
桜が咲いていたらしい
 
 


自由詩 桜前線 Copyright たもつ 2013-03-10 20:48:46
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