シャボン玉
寒雪

大切に使ってた
真っ白な皿を割ってしまった
その日夜ふけに
目を閉じて
ぼくの視界を埋め尽くす
たくさんのシャボン玉を真似た
永遠をつかもうと
子供の頃好きだった
虫取り網を持ち出してみる


シャボン玉には
油膜で爛れてはいるけど
何かしら
今までぼくが見た気がする
永遠を映し出した光景が
壊れないように
そっと網に入れてみたつもりだけど
やっぱりなにも入ってなくて


あっという間に
シャボン玉は
動揺したぼくの耳に
童謡を残して
壊れて消えた
暗闇に残されて一人
耐えられなくて目を見開く
見慣れたはずの
切り取られた
フレームの脇で眠る日常を
狂おしく抱きしめて
いなくなった永遠の存在を
疑ってそれでも信じてみる
いずれまた
激しく心を痛めつけられても



自由詩 シャボン玉 Copyright 寒雪 2013-03-10 09:40:18
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