頭痛の花
よしたか



頭痛の種を咲かせるんじゃない
信号機と足場を失った人の念のこもった言葉が
裏口近くの腐葉土に
どんよりと吸い込まれていく
禍々しい太陽を天に見届ける
目にいれるものは選べる
動けば景色も動く
世話を焼いているクッキー工場ではない
果たして頭痛をしているのは僕かあなたか
これすらハッキリと区別がつかない

物陰に見たことのある憂鬱なシルエット
あの不穏な写真の現像化
なみなみと水をそそぐんじゃないよ
暗く呼応したまらずに花開くんじゃない
絡まった蝶の脳が顔をだすほど頭を掻く
こいつメキメキと育つものだから

勢ぞろいした言葉の甲斐もなく
続々と押し出される奇妙な緊迫の文面は
意地でも固定された被害届を鬼気と強調するが
いまだ月に事実のアポロは着陸せず
あたかも似たもの同士な微笑みの違和があり
目を疑うように読みこんでみれば
なにやら引っ張られる場所に
説得の数々は途方もなく吸いこまれていく

誰が撒いた種だろう
思った通りの結果というには気が短い
散華のときは虚しい清涼で
名残も風情もなく
ちょっぴり哀しい庭仕事の知恵を残す

言葉どおりに運ばれない言葉は
一大事の執念で変換され続けた
しっかりひかれた別人というラインを抜け
身に覚えのない花嫁の距離で囁き続けた
まったくズキズキと花開いたものだ




自由詩 頭痛の花 Copyright よしたか 2013-03-09 15:25:40
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