夜明けを束ねる、ろうそくをくぐる
みい
ヘッドフォンの耳の内側、ぐらりとゆれた電車では
わたしはとっくにバランスをとれないで
一本の細っこいろうそくに似せて
ずるり、とけていくふり
とけたろうそくの
土台はやっぱりケーキでしょ
もっととけていなくなれたら
今度はトウメイニンゲンになって
ケーキおなかいっぱい食べる
のね、
ゆめ
つり輪を持ったまま
わたしの視界のみんなはとけてゆく
あのサラリーマンの人も
高校生のカップルも
子供のプレゼントをもつお母さんも
ぼんやり
みえなくなって
ふっ
と
あかりが消える、みんなに
なまえを
つけてあげる、
夜、夜、夜、みんな
おんなじ記号で
メリークリスマス
わたしのなまえは、サンタクロース。
スパゲッティのくるくるぐらいで
しんどいなんて、そんな、待って!
わたしの右手からぽおん と
はなれて
さくり
あなたの頭で
この子も
あなたのことがすきだったのねえ
なんて
あっはっは
ごめん
もうしわけない
フォークをとばしてしまったのはわたし
え?おれのこときらい?
そんなまさか!
あ
しゅうん だいま、しゅーん。
そんな
ばかなことばっかりでつくった
ケーキの中にグリンピースをみつけた
あたりだというあなたと
わたしはちがう
だってわたしは
グリンピースがしぬほどきらいだし
どうして
わたしより大きな体をもつあなたと
おなじことを考えたいのかと
わたしの体をじっとみていた
たましいは
ぜんぶ、おなじ重さなのかしら
だからと理由をつけるのは
間違っているのかしら
ふと
左のおっぱいが右よりちっちゃいことに気づく
1秒前に戻ったらわたしはそこで
たぶん、バグってしまう
むかし
サンタクロースがくれた
クリスマスのレコードの
あああああああ、のおかしい のと
たぶん、いっしょに