褐色の日差し
番田 


部屋を出て
日差しの鋭いこの街を
歩く 僕のことを
誰も何も知らない 
僕は 人とすれ違い
歩いていく そして 
それは正しいのだと言い聞かせる


繰り返される日々
僕は仕事を辞めた
政権が代わって
僕は 引っ越した
だけど何も変わらない 
毎日 僕らは 思う方向に
生きていくことなどできないのだ
そうだと 知る 選択することはできない
運命に逆らうことはできない
そして それを なぞることだけ


四谷の
どこか 物憂げな日差し
その中を 音もなく 
歩いた もし 僕が 死んだら
そしたら この街に埋められて
安らいだ気持ちで そして
色々なことを考えるだろう
あんパンを そして
買い 小さな公園でそれを齧った


将来に悲観していた
そうなのだろうか わからない
だけどアコースティックギターを手に
乾いた音を ひとり 鳴らす
過去だけが 鮮明に 音を響かせた
必死で 何かを求めてきた
僕だけの揺るぎないものを
微かな誇りのようなものを



自由詩 褐色の日差し Copyright 番田  2013-03-07 00:32:31
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