草球
梅昆布茶

僕はいつでも敗戦投手

君のこころのミットにボールを投げ続ける

変化球はいらない
走らない直球だけが僕の武器だが

九回裏観客席のざわめきが鎮まる

打席にはイチローではなく
どちらかというとたこ八郎に似たバッター

見かけによらない天才バッターなのだが

なんだか挑戦的な一瞥をなげてスタンドを指差している

観客席が海のようにざわめく

ふざけるなやり過ぎだぞ十年はやい

振りかぶって投げた球は澄んだ打音を残し
軽々とスタンドを超え

春の空へ消えていった

それは僕のはるの音だった







自由詩 草球 Copyright 梅昆布茶 2013-03-06 11:56:19
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