青い背広
ドクダミ五十号

ブルーカラーが背広を着るか

心が軽いと歌いますか

お仕着せを着てみますか

青焼きほどに魅力的ですか

旋盤から切粉が身をよじる様にですか

ツルハシの先端を起こすに適切な位置に振り下ろす様にですか

ハイスを研いで指先でそれが美しい切削面をと想像する様にですか

背広を着るのに戸惑うのは

疑問を捨てて

疑問に答える心を捨てる事への抗いなのだろう

おためごかしはいい加減して欲しい

実際に作る事をしない奴らのふりをするのは

ただの一杯の飯を上手く炊く事から始めようじゃないか

以外に難しいそれから

ブルーカラーの憂鬱に混ざる意味は

ホワイトカラーには理解できない地位への憧れとして

実はホワイトカラーとブルーカラーの間にぶら下がっている

鴨居に一張羅の背広が揺れている

ゆらめいているのだ

作るから

作らせる

への

質問としての決断へと

愚かな者は袖に腕を通す

ねずみ色の背広が青く変色するか

誇りを捨ててまで


自由詩 青い背広 Copyright ドクダミ五十号 2013-03-02 14:47:26
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