遺骨
千波 一也



ひどく熱い台の上で
亡きひとの骨を
拾う

幼い
わたしを
抱き上げてくれただろう
腕をひとつ

もう二度と
わたしを呼ぶことのない
喉をひとつ


かつての命は
小さな箸で小さな箱へ
しまわれる

骨の形をのこせぬ灰は
ちりとり・ほうきで
集められる


遺影には
亡きひとの笑みが
ただあって

緩やかに
ぞんざいになる箸使いを
許容しているように
見えなくも
ない


ひどく熱い台の傍ら
亡きひとの視線を
そっと思う

不快な汗を
指の間に滑らせながら







自由詩 遺骨 Copyright 千波 一也 2013-02-25 20:41:12
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