ふる雪のそこに
凍湖(とおこ)

あなたの胸に、耳をつける。
はらはらと
降りつもる、ゆき。
さいげんなく現れる、ぶあつい雪片。
あなたにふれた手のひらが、やはらかく折り重なり
何層にもなってゐる。
ぼくのも、知らないひとのも。

なだらかな呼吸のなか
息をつめて、探っている。
返事のように、抱きしめ返す
両腕のさみしさを。

あなたが埋葬しようとする
あなたを
ぼくは、決して
埋葬など、してはやらない。

だから、見て。
押し隠した坑に、根をはるものを。


自由詩 ふる雪のそこに Copyright 凍湖(とおこ) 2013-02-24 00:41:58
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