やみつき
るるりら


死んだ魚の隣で
ビニールの袋の中で
スケルトンな体をくねらせて
白魚は泳ぐ
その臓器の あまやかなピンク色は
ゆるされている時間の刹那を泳ぐ

なにやら虚無からの出立や
黎明に対しての色合いと
同じ色をしていて
白くない
値札の白魚という文字は嘘だ
白くはない いのち
シラウオは 泳ぐ

即興的にしつらえられた 手のひらの大きさの海を
シラウオは 泳ぐ
わたしの沈鬱の中を
シラウオは 泳ぐ


饗宴じみたスーパーマーケットの片隅で
肴の骨すら見えすぎて見えない
明るすぎる光の中に晒されて
シラウオは 泳ぐ

あそんでるんじゃね
ここいらじゃ
なにもしないことを あそぶという
懸命に生きようとして 生きてはゆかれんこともある
ほいじゃけぇ うちらは あそぶことに やみつきなんじゃ

懸命という言葉が すけるほど
シラウオは 

あそんどる


自由詩 やみつき Copyright るるりら 2013-02-23 12:41:27
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