空っぽのままで
竜門勇気


君が居なくなった時
ほんとうにだめだと思った
これは、まじで、まともに
しんそこからだめだと思った

僕は多分君を全然大事にしなかった
空気の中の酸素ぐらいに思ってた
精々数%のなければ困るもの
ストーブに火がつくのは
そのおかげぐらいの感じで

君が居なくなって
ほんとうにだめだと思ったんだ
でももがいたら
余計苦しいって知ってたので
黙ってることにした

これはまじで、極端に、のっぴきならない
崖の端で絶対に行っちゃいけない方向に
そっちにしか進めない事になってしまったような
そんな運命が決まった瞬間
早く回る時間がたくさんの選択肢を差し出して
僕の顔を見る
どの答えもちょっとした言い回しとか
文字の大きさぐらいしか変わらなくて
結局決まった運命を
どんな風に料理するかって
そんな気分

そして僕は体の中に空っぽを飼った
この部分はさみしいけど死んだ部分
忘れることすら出来ない空っぽ
空っぽは空席みたいに見える
誰かが来るのを待ってるみたい
けど映画は終わったんだ
劇は幕の奥に消えて
ここは場所に戻ったんだ
誰もこない空っぽと
スクリーンが存在し続ける
生きていることは
世界に意味を見てる限り無意味だ


自由詩 空っぽのままで Copyright 竜門勇気 2013-02-22 00:12:05
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