地下鉄
たもつ

 
 
剥がれないようにして走る 
名前を失った
低い温度のままで

足元を照らす僅かな灯りを
希望と呼ぶこともなくなった 

脆い身体は既に
言葉の繰り返しとなり
穏やかに壊れ始めている

それでも決して忘れない 
もう空を見ることができなくても
かつて嗅いだその匂いを
 
 


自由詩 地下鉄 Copyright たもつ 2013-02-20 19:27:38
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