黒髪

長い影に午後が暮れるのを知る
ミラー、ミラー、ミラーと暗がりの壁にかかった鏡を見る
鏡の中に映った私は閉じ込められたよう
映った姿の後ろの世界にたどり着きたいと思った
たとえそこが大きな監獄でも恐れない
そこにいるのは誰でもない僕
優しく羽が降ってきて体中を包むような感触
全ての人に背を向けて、かじかむ時間を必死の思いで過ごした日々を、捨てる
ひとつの命がここにある
何十億個の瞳に僕は映れる
ほほえみ交わすことでたどり着く道を想像するから、僕たちには分かり合う余地がある
自分の映らない姿を頭の中で共有しよう
無用の道具はゴミに出す
ポンコツな僕の目覚めた日
ガタリガタリとゴミがうるさく鳴っている
頭をポカリと叩いていったいたずらっ子を後ろから追いかける



自由詩Copyright 黒髪 2013-02-20 14:39:01
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