君咲く春に
梅昆布茶


固く結んだ歴史の果て

柔らかな風を含んで君は花開く

大輪ではないが機知にとんだ
しっかりした花だ

空からやって来る言葉を迎えるために
僕らは産褥をしつらえねばならない

子供がガラスに顔を押し付けて外をうかがうように
僕たちはある意味滑稽なんだろうな

風は国境を知らずに季節をもたらすもの
君の心も国境はない

生態の連鎖の中で水銀が蓄積してゆくように
愛が貯蔵できればいいのだが

それほど容易くはないようだ
それにもう別れの時期は去ってしまったのだ

僕たちの戦利品は春の中で咲くだろう
特別でもない白い花だ

少女達が朗らかな響きをもたらす野辺には
小川が流れて雲が映るだろう

春は祭典なのだろうか
世の中が咲き匂うならそれは
ひとの心が作る

本当の春ではないのか

春は心にやって来るもの

そしてまた
季節は
それを後押ししてくれる

僕たちはひび割れた季節を繕いながら
春をまつのかもしれない

互い違いの日々を
重すぎる夜だって

こんなに春を含んでいるんなんて思わなかったんだ

だからいまでも待っている

君咲く春を














自由詩 君咲く春に Copyright 梅昆布茶 2013-02-20 10:11:16
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