このすべて
加藤

どこかに出かけよう
色んなことをしてからもう一度 帰ろう
夢に見て憧れていた場所に
立っていることに気が付いた

飛行機が飛んで行くのを
どこに行くのだろうと 眺めていたあの日

頭の中の記憶を覚えている
移り変わる景色に思い出す ひとつずつ
写真を撮るようにきざんでみよう
この目もこの手も きっとどこかで分かっている

強く輝く光に手を伸ばして
あの空の飛行機がどこに行くのかと
思いを向けた過去のあの日
今足でぎゅっと地面を踏み込んで
その驚くほどの重みを感じている

遠くまで行こう でもどこまでも
果てしなく行くことはできない
それでもここにいることだけは
果てしないのかもしれない

冒険が終わったら……
考えるには早すぎる
まだまだ続く道を
このすべて 目で手で
覚えて行くだろうな

飛行機が動く
灰色の影が空をかすめ
見上げると飛行機は見えなかったが
轟音は鳴り響いていた


自由詩 このすべて Copyright 加藤 2013-02-19 04:39:02
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