宴 / 春の祝福
そらの珊瑚
なぐさめが
嘘だと知っていた
けれど
この世の中に
ほんとのことなど
在るのだろうか
わたしの躰に産みつけられ
冬を越した
薄黄色い
卵
(
カプセル
)
が
もうすぐ
孵化を始めるだろう
わたしは
あらがう術を持たず
どこへも行けないで
ただ
喰べつくされるのを
こうべを垂れて待っている
春の祝福
それは
ゆるやかに効いていく麻酔に似ている
宴
それは
静脈を巡る子守唄
現れては消える
幻のような白い光に包まれて
わたしは
あなたに
成った
自由詩
宴 / 春の祝福
Copyright
そらの珊瑚
2013-02-18 08:27:08
縦