雪明かり
砂木

降り続く雪に 何かあったのか
急に停電になる

夜の十時を回り 真っ暗
のはずだったが ほのかに明るい
雪明かりが 窓の外から輝いている

どこにもやりどころのない雪が
家の回りに山のように積まれ
かすかな月の光に 反射しているのだ

テーブルの上の物も 階段もかすかに見えるほどの
薄暗い白黒の世界に 静かにひたると
しんしんとやさしい 段々と沈黙の色にみとれ
大変な雪も 美しく儚い生き物に思えてくる

木や家を潰す 命を奪う雪なのに

凍えぬように たくさん着込んで眠る
寝ているうちに 電気は復旧したようだった

朝は除雪車の積み上げた雪を寄せなければ
家の外にも出られない 車もだせないけれど

心底 雪を憎めない
美しいって 困った事だ




自由詩 雪明かり Copyright 砂木 2013-02-17 20:51:22
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